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とんでも腐敵☆パートナー Act.3-1
2008 / 01 / 19 ( Sat ) 07:07:42
                                                               Act.3-2へジャンプ
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「うふふふふふふ…………」
 
「キモイよグリコ」
 
 さっきからニヤニヤ笑いが止まらないあたしに、親友の池上真昼(いけがみまひる)が言った。
 
「さっきからなに見てんのよアンタ」
 
 もう一人の親友、立倉祥子(たてくらしょうこ)も呆れ顔で訊いてくる。
 
「お宝写真」
 
 言った瞬間、にやにやは、でへっにまで昇格した。
 
 だって何度見ても嬉しいんだもん。
 
 あたし達三人は今、大学構内のカフェテリアでランチタイムを楽しんでいる。
 
 ここは、木のテーブルや椅子が置かれた、ロッジ風のお洒落なオープンテラスもあり、女学生に人気の場所だ。
 
 と言っても、あたしの大学は女子大だから女学生しかいないんだけど。
 
 丁度店内の冷気がいい感じに漂ってくる屋外席を取れて、あたし達は食事をしながらまったり過ごしていた。

 
「それってこないだ言ってたイケメンカップルの?」
 
 巻き髪お嬢様ヘアの真昼は清楚な見た目とは裏腹に俗っぽい言葉を使う。だけど男の前ではブリッコというわけでもない。
 
「うん、隠し撮りした写真ができたから」
 
 あたしのにやにや笑いの理由はそれだった。
 
「ふぅ~ん、どれだけイケメンか見てあげるわよ」
 
 眼鏡をかけたボブカットの知的美人、祥子があたしから写真を取り上げた。
 
「あっ。汚しちゃダメだからね!」
「アンタの涎の方が危険だわよ」
 
 びしっと厳しいことを言う。真実を突いてるだけに言い返す言葉もない。
 
「どれどれあたしにも見せて。へぇ~確かにかっこいいじゃん」
 
 星の数ほどの男と付き合ってきた真昼の審美眼は確かだ。
 
 あたしは子供を自慢する母親の如く舞い上がった。
 
「でしょっ、でしょっ! あぁ~早くカップル成立しないかなぁ~」
 
「アンタのその気持ちは分からない」
 
 祥子の呆れ目がますます細められた。
 
「普通、こんだけかっこいい男が身近にいれば自分が付き合いたいって思うよね。いい加減ノーマルに戻らないのグリコ」
 
 写真をあたしに返しながら言う真昼。
 
「腐道は一度堕ちたら二度と戻れないのよ……」
 
 ふっと自嘲気味に哂うあたしを祥子は「バッカじゃないの」と斬り捨てる。ああ、その冷たいところが萌え~なんだけど、女なのが残念。妄想のネタにはならない。
 
「それにしてもコレ、全然隠し撮りになってないじゃない。朽木さんだっけ? こっちの黒髪。思いっきりアンタを睨んでるよ」
 
「うん、何故だかいつも感づかれちゃうんだよね」
 
 祥子の指摘通りだった。
 
 何故だか、いつも隠れてる場所がばれて追い返されるんだよね。
 
 朽木さんって千里眼?
 
「隠れるのヘタなのよグリコは」
「邪念が溢れ出てんじゃないの」
 
 我が親友は二人とも言うことがキツイ。
 あたしはぶーっと膨れてまだ手付かずだったサンドイッチに噛り付いた。
 
 と。
 
「ん? この写真はアンタが一緒に写ってるじゃない」
 
 そう言って祥子が目を止めた写真は、一週間前、朽木さんちで撮ったやつだった。
 
 あの時は確かあたしが鼻血出して朽木さんが介抱してくれて。
 
 その後「お願い! 記念に一枚!」「なんの記念だ!」「出血大サービス記念!」なんてやり取りして。結局朽木さんが折れて一緒に写ってくれたんだっけ。
 
 意外と優しくて結構驚いた。
 女は嫌いだけどフェミニストってタイプかもしれない。
 
「鼻血出したら一緒に写ってくれたんだ」
 
 正直に告白すると、
 
「アンタ……女として、いや、人として終わってる」
 
 祥子に生ゴミでも見るかのような目で見られてしまった。
 
「まぁまぁ、でもグリコが男んちに行くなんて青天の霹靂(へきれき)だよね。これも一応進歩じゃない?」
 
 フォローありがとう真昼。なんか微妙にバカにされてる気もするけど。
 
 あたし達三人はそんな風にいつものランチタイムを終了した。
 
 二人は食べ終えた食器を下げに行き、あたしは最後のサンドイッチをお腹に収めて一息ついていた。
 
 そんな時、同じ英文科の女の子があたしを見つけて道の向こうから手を振りながらやって来たのだ。
 
 名前は……確か相田さんだったかもしれない。あたしは人の名前を覚えるのが苦手なのだ。
 
 
「桑名さん、今夜空いてる?」
 
 彼女は開口一番そう言った。
 
「空いてるけどどうしたの?」
 
「今日、合コンするんだけど、女の子が一人欠けちゃったのよ。頼んでた子が風邪ひいて」
 
「ふぅん、それであたしが代理?」
 
「そう、代わりにお願い! 桑名さん!」
 
 相田さん(多分)は両手を合わせて懇願してきた。
 
「真昼か祥子のが適役じゃない?」
 
 あたしは興味なさげに返す。
 
「あの二人だと全部持ってかれちゃうじゃない」
 
 それはどういう意味なのか。
 
 突っ込みたいところだけど彼女とそれほど親しいわけじゃない。
 
 自分の失言に全く気付かない彼女はとにかく焦りまくっていた。こないだ車を止めようとパニクった自分を思い返して、あたしはなんとなくOKの返事を返した。
 
 幹事役も楽じゃないんだろう。
 
「ありがとう桑名さん!」 
 
 晴れやかな笑顔になって喜ぶ相田さん。
 
 本当は合コンとか苦手なんだけど、適当に座ってるだけでもいいだろう。所詮人数合わせだもんね。
 
「じゃあ18時に駅で待ち合わせってことで。ホントにありがとう! よろしくね、桑名さん」
 
 何度もありがとうを繰り返しながら、相田さんは席を離れていった。
 
「うん、じゃあまたね相田さん」
 
 感謝されるのは悪い気分じゃない。あたしも軽く手を振って笑顔で返すと、相田さんはちょっと面食らった顔になって言った。
 
「あの……あたし、寺尾なんだけど」
 
 
 訂正。相田さんは寺尾さんだった。


    Act.3-2に続く

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テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

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