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とんでも腐敵☆パートナー Act.4-1
2008 / 02 / 02 ( Sat ) 22:41:56
                                                               Act.4-2へジャンプ
<<<< 朽木side >>>>
 
 その日は俺の願いも虚しく、朝から快晴だった。
 
 俺達の大学の正門前。
 
 この待ち合わせ場所に、既にメンバー全員集合している。
 
 忌々しくも、俺と拝島のドライブデートを妨害し、海に行くことになったメンバー、だ。
 
 男は俺と拝島と高地。女はグリコとその友人二人。計六人となったので、拝島の車一台では足りず、二台の車で移動することになった。
 
 その二台の車は、正門前の道路端に寄せられ、出発を今か今かと待っている。
 
 車に寄りかかってた俺は、出発を促すつもりで、前方の赤い車の傍に立つふたつの人影に目を向けた。
 
 セピア色に染まった世界の中で、友人二人がなにやら楽しげに密談している。
 
 友人といってもその二人の位置付けは天と地程もの差があるが。
 
 一人は、俺にとっては友人以上恋人未満の存在の拝島。
 
 もう一人は、友人というのもおこがましい、お邪魔虫以下の存在の高地。
 
 そして、視界に入れる程の値打ちもない、腐女子グリコとその友人二人が俺の隣で煩く(主にグリコが)雑談していた。
 
「暑いわね。こんな日に外出なんて正気じゃないわ」
 
「たまには太陽の光を目一杯浴びるのも悪くないよ祥子」
 
「あたし、先週も先々週も海だったのよ。男ってどうしてあんなに海が好きなのかしら」
 
「真昼の水着姿が見たいからに決まってるじゃん! あたしも真昼のセクシーなボディラインが拝めるかと思うと……ぐふふふ」
 
「寒いこと言わないでよグリコ」
 
「同性だってキレイな体には興味あるの!」
 
 グリコの女友達はどうやら冷めた性格らしい。既に終わった自己紹介を聞いた限りでも、グリコの友人をやってるのが不思議な程に落ち着いた二人だった。
 
 顔の造形も悪くない。美人の部類に入るだろう。この二人を見た瞬間、高地が飛び上がって喜んだのは言うまでもない。
 
「朽木ー!」
 
 高地に呼ばれ、面倒だが足を動かす。話があるなら自分から来い。と言いたいところだが高地にはそこまで自分を見せてない。知り合いが多い奴なので、地の顔を見せるのは後々面倒を引き起こすかもしれないからだ。
 
「なんだ?」
 
 拝島の赤い車の横に、拝島と並んで立つ高地に返事を返す。
 
「遠目で見てもなんか迫力あったけど、近くで見るとますますマフィアっぽいなお前」
 
 近付くにつれ、阿呆面をさらに呆けさせた高地が洩らした。
 
 恐らく、今俺がかけてるサングラスが問題なのだろう。
 
「強い日差しは苦手なんだ。そんなにおかしいか?」
 
「いや、逆に似合いすぎてこえぇ」
 
 似合ってるとなんで怖いのか。俺の見た目はそんなにチンピラくさいのだろうか。
 多少なりとも容姿には自信があるんだが。
 
 それともこの黒のポロシャツがいけないのか、と広めに開けた襟ぐりを引っ張ってみる。
 
 確かに、下も黒で全身黒ずくめなのは洋画に出てくるスパイのようだ。だがマフィアはちょっと違うだろう?
 
「日本人に見えないんだよね。朽木、男の目から見てもカッコイイからさ」
 
 屈託ない笑顔の拝島がフォローなのか、そんなことを付け足してくれた。
 
 拝島は今日もいつもと変わらないシンプルなTシャツとジーンズ姿だ。オレンジの細長いシャツがやや細身の体躯に良く似合う。そう言う拝島こそ、すらりとした長い足は日本人離れしてると思うのだが。
 
「おいおいお前ら二人と並ぶと、俺ってばまるっきりオマケじゃん」
 
 対して高地の格好は派手なアロハシャツに五分丈ジーンズにサンダル。こいつの見た目こそチンピラくさい。
 
「ま、そんなことよりさ、車に乗る組分けなんだけど」
 
 今日、車を出したのは、拝島と俺だ。高地は車を持ってなかった。車も持たずしてドライブに誘おうとは厚かましいことこの上ない。グリコといい勝負かもしれん。
 
「俺とグリコちゃんの友達二人で朽木の車に……」
 
「なんで二対四になるんだ。三対三に分けるべきだろ」
 
 俺は即座に却下した。
 
 高地のことだから、そうくるとは思っていた。両手に花とでも目論んでるんだろう。
 
 高地の思惑などどうでもいいが、それだと拝島がグリコと二人きりになる。そんな危険なことは避けたかった。
 
 ちなみに俺の車はBMWだ。拝島のミニとは比べものにならない程パワーが違う。違うというのは下ではなく上の方だ。拝島の車に四人乗ることはあり得ない。
 
「俺とグリコとその友達一人。もう一人と高地が拝島の車。それでいいだろ」
 
 静かだが押しの強い口調で言う。反論は言わせるつもりはない。
 
「うっ……やっぱダメか? う~~どっちか一人か~~~どっちがいいかな……。どっちも可愛い子ちゃんなんだよな~~~」
 
 高地はまるで人生の岐路に立たされた者の如く真剣な表情で悩む。
 
 阿呆らしい。一生悩んでろ。
 
 悩める高地は放っておいて、後方にある自分の車の元に戻るべく、踵を返した。
 
「グリコ。行くぞ」
 
 俺の車の横で待機してたグリコに声をかけると、グリコは友人二人を伴って嬉しそうに駆け寄ってきた。
 
 そこで俺は何故だかグリコが当然俺の前で止まると思ってたのだが。
 
「わーい! またミニちゃんに乗れるんだー!」
 
 心底嬉しそうな声でそう言いながら、俺の前を素通りしていくグリコに、俺は僅かながらも戸惑ってしまったのだ。
 
 
 なんだと?
 
 
 だがそれも一瞬のこと。すぐさま我を取り戻した俺はその首根っこを掴んで引き戻した。
 
 今日のグリコはフード付きパーカーを羽織ってるのでフードを掴むことであっさり引き寄せられる。「うにゃっ」とか奇怪な声をあげながらバックステップを踏んで俺の胸に当たって止まるグリコ。
 
「お前はこっちだ」
 
 言って俺はそのまま歩きだし、グリコを自分の車の場所にずるずると引き摺っていった。
 
「えーっ! そんな可愛くない車やだー! 拝島さんのミニちゃんがいいー!」
 
「うるさい。黙れ。拝島にお前を近付けさせるわけにはいかん」
 
 ムッとしながら、低い声で耳元に囁く。
 
 くそっ。不愉快だ。一瞬でも面白くないと感じてしまったことが不愉快だ。
 
「なんだー? 朽木はえらくグリコちゃんにご執心なんだな。保護者みてぇ」
 
「確かに気分は保父さんだけどな。こいつは目を離すと何しでかすか分からないんだよ」
 
 高地の余計な突っ込みに軽く肩をすくめてみせた。拝島が誤解しなければいいが。
 
「まぁ確かにグリコはいつもやらかしてくれるからね」
 
 感情の見えない顔で同意してきたのは、グリコの友人の立倉という女だ。
 
「そこが面白くもあるんだけどね」
 
 十代とは思えない大人びた笑みを口許に称えるもう一人の女は確か池上か。
 
 グリコは普段から周囲に迷惑を撒き散らしてるらしい。友達にもこの言われようか。
 
「ぶーっ! そんなに常識なくはないよ!」
 
『いや、ない』
 
 俺と女二人の声が申し合わせたように揃った。
 
「あははははっ! 保護者が三人もいれば安心だね、栗子ちゃん!」
 
「拝島さん、笑いすぎです……」
 
 まだぶうたれてるグリコを後部座席に放り込んだ。ミニに比べると広い車内。確かに図体のでかいこの車は「可愛い」という形容詞は似合わない。色も深い青――モナコブルーだ。だが、黒塗りのベンツなどに比べればまだ可愛気があると思うんだが。
 
 それから女二人が適当に分かれてそれぞれの車に乗り込み、どうにかこうにか出発となった。
 
 まったく、先が思いやられる。
 
 
 波乱の予感にため息をひとつ落とした。
 
 
    Act.4-2に続く
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テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

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